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Diary2024/07/13

都知事候補の隣から見た都知事選

未来の東京を選ぼう

都知事候補の隣から見た都知事選

2024年7月7日に行われた東京都知事選挙。
無所属かつ初出馬でありながら、得票数5位を獲得した安野たかひろ候補を「隣」から応援してみたので、その舞台裏を綴ります。

はじめに

なのくろです。こんにちはこんにちは!
普段は深夜アニメとニコニコ動画ばかり観ているインターネットお嬢様部です。

タイトルにある「隣から見た」というのは言葉通りの意味で、選挙カーの運転手として助手席に安野くんを乗せて一緒に東京都内を走り回っていました。

出馬表明から開票までの約1ヶ月間、都知事候補の隣という稀有な場所から都知事選を眺めることができたので、この経験はシェアしたいなと思い、記事に残してみようと思います。

免責
あくまで個人ブログなので好き勝手書いています。公式見解では無いことをご理解ください。

ちなみに安野くんの妻、りなくろさんとハンドルネームが似ているのは偶然です。
りなくろさんは演説が謎に上手で話題となりました。ReHacQの対談で特に文学のくだりが超面白かったのでおすすめです。この夫婦はマジで箱推しできる

私と安野くんについて

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品川駅で演説する安野くんと、街頭演説用標旗を持つ私

私と安野くんの繋がりは古く、20年以上前からのエンジニア友達です。

2003年当時、Microsoft が若手技術者向けの掲示板を運営しており、安野くんとはそこで友達になりました。当時はまだプログラミングに興味のある中学生は激レアで年齢も一緒だったので、会えて嬉しかったことを覚えています。

社会人になってからはお互い多忙で話せる機会こそ減りましたが、現在でも同じエンジニアとして、たまにお茶する間柄です。

突然の出馬表明

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出馬記者会見の様子

2024年6月6日、ニコニコニュースで安野くんの記者会見を発見。流石に飲んでいたお茶をこぼしました(実話)

「おいおいマジかwww」という驚きの数秒後、「まぁ安野くんなら総理大臣か宇宙飛行士になっても不思議じゃないな」という謎の納得感に至りました。

旧知の仲なので最大限の応援をしようと思い、すぐにチーム安野へと加わりました。

安野くんは「自動運転が普及する未来は近い、だから運転免許を持っていないw」と語っていたのが面白かったです。ただ残念ながら2024年現在は運転免許が必要で、選挙カーを用意できず困っていた為、ドライブ好きな私が運転を担うこととなりました。

私にとって政治活動への参加は人生初でしたが、振り返ってみると本当に学びのある貴重な経験となりました。

チーム安野という奇跡

安野くんを支えていた、通称「チーム安野」について紹介せずにはいられません。

チーム安野は、学生時代の同級生、彼が起業した会社の同僚、IPA未踏ジュニア、そしてその友達などの有志で構成されています。

同世代が多いものの、下は20歳から上は40代後半まで、各分野において現役で活躍している面々でした。(例えば元省庁職員、大手コンサル、弁護士、エンジニア、スタートアップ関係、医療、広報などなど)

チーム安野では透明性高く様々な情報を公開していますので、その一部を紹介します。

100ページ近いマニフェストを短期間で発表できたのは、コンサル経験者を中心とした政策立案や凄腕デザイナーの成果です。
GoogleSlide - 東京都知事選2024安野たかひろマニフェスト(詳細版)v2.0

課題提起を支える技術、ポスター貼りを支える地図、AIあんの24時間配信などはソフトウェアエンジニア達による成果です。
note - AIによるマニフェストへの質疑応答システム「AIあんの」の裏側を公開します!

テレビが取り上げてくれない中、ネットメディアや各種SNSで情報発信できたのは、出版や広報経験者達による成果です。
note - メディア掲載実績まとめ

クリーンな選挙を徹底するために、リーガルチェックをしてくれた弁護士や、経理を担当してくれた方の活躍も本当に素晴らしかった。
note - 選挙っていくらかかるの? #安野たかひろ の帳簿を大公開!

全て紹介しきれないので、ぜひ安野たかひろ事務所の公式noteも読んでほしいです。この組織はスタートアップそのものだなと感じました。
note - 1ヶ月の都知事選挙戦を支えたチーム体制を公開

興味深いのは、各分野の専門家集団でありながら、選挙については素人集団であったことです。選挙に関するセオリーを知っていた方は少なかったのですが、だからこそ常識に囚われず、フラットな視点で挑戦できたとも感じています。

集まったメンバーがそれぞれ自律的にボールを拾い、それぞれの得意分野で活躍していたのも印象的でした。全員が課題解決に正面から向き合えたことが良かったと思います。

わずか数日で奇跡みたいなチームが結成できたのは、安野くんの人望と人柄によるものだなと思います。初めて会う人が多い中で(私は安野くん以外全員初対面でした)、政治という様々な思想が衝突しうる案件であったにもかかわらず、きちんと建設的な議論に終始し、ブリリアントジャークも存在せず、チーム全員がお互いをリスペクトし、理想的なチームの雰囲気が自然と醸成されていたこと。これは奇跡という言葉で片付けるには勿体ないほど、すごいことだなと感じます。

また、チームで最初に決めていたこととして「徹底的にクリーンな選挙にすること」も挙げられます。公職選挙法を厳守するのはもちろん、他の候補者をリスペクトし、非難するよりも良い部分を評価しようという姿勢がチーム全体に共有されていたことは、振り返ってみても本当に素晴らしかったなと思います。

ボランティアの神々

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ポスターをキレイに貼るのは難しかった

今回の選挙を語る上で、協力いただいたボランティアの存在は超重要でした。

チーム安野は、選挙に必須とされている三バン(地盤・看板・鞄)のいずれもない状態で、準備時間や選挙への知見も不足しており、チームだけで戦うには限界がありました。

ボランティアの皆様に助けられていた部分はかなり多く、ポスター貼りを中心に協力いただきましたが、それ以外にも様々なエピソードがありました。

  • ポスターを効率よく貼るためにボランティア間で連携してくれた
  • 演説中の写真や動画を撮影してSNSへ投稿してくれた
  • 演説するならこのへんが良いよ!とおすすめスポットを紹介してくれた
  • 強風で倒れそうになったのぼりを支えてくれた
  • 夕方以降、演説者が見えづらくなってしまうので懐中電灯で照らそう!と提案してくれた
  • ポスター看板の位置が高すぎて困っていたときに脚立を差し出してくれた
  • 他にもたくさん!!!

特に、島しょ部も含む約14000箇所全ての看板ボランティアだけでポスターを貼付できたことは大ニュースだと思っています。最後の一枚は新島にあり、東京都庁から中継で応援できたのはエモすぎました。

最初の街頭演説を聴いてくれたのは十数名でしたが、最後の街頭演説では有楽町駅前を埋めるまでに至りました。当選という結果を残せなかったことは悔しかったものの、15万票超えという数字はチーム安野だけでなくボランティアに参加してくれた全員の協力によるものだと思います。

余談ですが、多くのメディアが安野を泡沫候補扱いする中、初期から取材して報道してくれたメディアもちゃんと存在していました。何かと批判されがちなメディアですが、中には真のジャーナリストもいるのだと感動しました。彼らも選挙を支えてくれた影の立役者です。

ブロードリスニング

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VRChat で挨拶する史上初の都知事候補

安野たかひろの選挙活動で、最も特筆すべきは「ブロードリスニング」であったと思います。

従来の選挙活動はブロードキャスト、すなわち候補者から大衆へ一方的にマニフェストを届けることが当たり前でした。

チーム安野はこの逆であるブロードリスニング、大衆の声を集め、内容を議論し、マニフェストに反映するという流れを作りました。

選挙期間中にマニフェストを更新するというのも前代未聞ですが、大量の意見を集約し、短期間でマニフェストへ反映する。これをAI技術の活用で可能にした点が画期的です。

言葉を選ばずに書くと、チーム安野は都心在住、高学歴、若年層という偏りがちな集団であるが故に、本当に「誰も取り残さない」を実現できるのか?という懸念は初期から挙げられていました。

例えば、島しょ部で暮らす人の島特有の課題を取り込めるのか、休職中や働けない人の課題を取り込めるのか、高齢者や移動が不自由な方の課題を取り込めるのかなど。今回の限られた選挙期間内で、チームメンバーの視点だけではカバーできなかった、拾いきれなかった政策はまだまだあったはずだと振り返っています。

課題はあれど、テクノロジーを活用することで「デジタル民主主義」「参加型マニフェスト」の実現は可能であり、今回の都知事選で十分可能性を示せたのではないかと思います。

実際にいくつかの提案を選挙期間中に反映しており、「子育て支援の所得制限撤廃」「男性へのHPVワクチン助成」などは大きな反響がありました。

これらの成果物は、他の候補者も活用できたほうがより良い社会に繋がると信じ、チーム安野の技術班がオープンソースとして公開する準備を進めています。

既に現職の議員の方や、地方議会へ出馬予定の方などから、この取り組みを参考にしたいという声を多く頂いており、今後の政治が変わっていく期待感があります。

現場にいて感じたこと

ここからは個人的に、細かいけど印象的だったことなどを書いてみます。

絶望の袋

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途方に暮れていた...

ポスター貼りの話題で何度か取り上げられていましたが、都内約14000箇所の看板位置は、選挙管理委員会からドサッとで渡されました。紙の分量がえげつないだけでなく、各市区町村ごとにフォーマットも違うので、出馬直後からデジタル化の必要性を痛感していました。

技術班が紙をスキャン→GPT-4oでOCR→CSVに書き出し→緯度経度に変換という涙ぐましい努力をしていました。ここでもAIが大活躍しています。

この看板位置についても、将来出馬するかもしれない人達に向けてオープンソース化していく価値がありそうです。

他陣営とのやりとり

ライバルであっても選挙活動では協力が不可欠で、演説場所や時間が被らないように陣営の担当者間で調整する必要がありました。

名前は伏せますが、主要候補なのに極めて失礼な陣営もいたし、一見怖いのかと思いきや大変親切に応対してくれた陣営もいたり。

あくまで一個人としての感想ですが、政治家や支援団体に対する印象は、今回の都知事選を経て大きく変わりました。

つよい気持ち

どうしても政治活動である以上、聴衆の中には攻撃的な人も僅かながらいました。突然暴言を吐いてくる人、難癖をつけて妨害してくる人、ビラを目の前で破り捨てる人、酔っぱらいなど様々。

安野くんに危険が及ばないよう、あらゆるトラブルに対して丁寧かつ毅然と応対していましたが、やはり精神的には辛かったです。しかしそれ以上に多くの暖かい人達に支えられていたので、最後まで頑張ることができました。

政見放送の収録

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候補者名の読み上げにもAIが使われていた

NHKの渋谷スタジオで政見放送の収録があり、こちらにも同席してきました。
局内はまるで迷路のような作りになっており探検してみたかったです。

まじめな収録現場なのでスタジオ内は全体的に張り詰めた空気があり、本人だけでなく同席していたメンバーにも緊張感がありました。

改めて考えてみると、あの環境で堂々と話したりパフォーマンスしていた方々は、内容はともかくすげぇな...という気持ちになりました。

選挙カーと駐車場問題

選挙カーは看板があるので車高が高く、チーム安野が借りていた車も高さが2.5mありました。

2.5mだと立体駐車場はもちろん不可、平置駐車場でも地下だと入れなかったり、駐車場で苦労することが多かったです。

チーム安野は軽自動車だったので4人しか乗れず、車重も重かったので坂道が大変でした。もし次回があれば8人乗のハイエースを選びたいなと思っています。

もし自動運転が認可された世界線であれば、Teslaのサイバートラックを選挙カーにしたいですね!

道路交通法の除外

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選挙運動用自動車・船舶表示板

選挙管理委員会から渡される7つ道具の一つ「選挙運動用自動車・船舶表示板」を車につけることで、道路交通法の制限が大幅に緩和されるというのは初めて知りました。

例えば駐車禁止や一部の通行止めも除外され、歩行者専用道路でも走行が可能です(やりませんでしたが)。運転中のシートベルト着用義務も除外されるので、候補者が窓から手を振れるのはこういった特例によるものです。

音量無制限で名前を連呼することもルール上は可能でしたが、シンプルに近所迷惑だと思っていたので、チーム安野は駅前での街頭演説でのみ拡声器を使用していました。

大島遊説

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観光スポットにも行きました

できるだけ多くの場所で演説しようという方針のもと、島しょ部では大島へも行きました。

ボランティアの中にはジェット船で駆けつけてくれた島出身の方もいて、場所の案内や地元のおすすめグルメを紹介頂くなど、大変お世話になりました。

竹芝から船で、あるいは調布から飛行機で行けます。日本唯一の砂漠や地層大切断面は必見です。他の島々にも巡りたかったです。

演説が上手くなるメンバー

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演説が上手すぎるりなくろさん

まさか人生で、選挙カーの上で喋る機会があるとは思わないですよね(それはそう)

チーム安野では、安野たかひろが政策を訴える前に、妻のりなくろさんや友人達が前演説を行っていました。誰が話すかはその時その場にいた人で決めており、私もぶっつけ本番で何度か話す機会がありました。

合法的に都心のどまんなかでマイクを握れる経験は貴重で、ちょっと気持ちよかったのと、チームみんな演説が上手になっていくのが面白かったです。

おわりに

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初日の有楽町の様子

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最終日の有楽町の様子

激動だった約1ヶ月間。都知事候補こと安野くんの隣で走りきれたことを誇らしく思います。

いままでは消去法で渋々投票してきましたが、今回初めて誰かを推したいと思いながら投票箱に投じることができ、これが本来の選挙だよなと凛々しく感じました。

都知事選が終わり、急にいつもの日常に戻ったので一抹の寂しさがありますが、今回得られた知見や経験、新たに生まれた出会いは一生ものです。

安野くん、チームのみんな、応援してくれた全ての皆様、お疲れ様でした!!!

またどこかでお会いしましょう。